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昨年(2011年)4月、中国・上海で「手掌心(英語表記palmobile)」という会社を設立した時のことを まだ昨日のように覚えています。昨今のこの閉塞感から、何か新しいことをしなければという思いで 始めたわけですが、中国で会社生活の経験のない中国人の僕にとって、あれから毎月大阪と上海 の間に行き来する生活がスタートしただけではなく、既成の考えを覆させられる日々でもスタートしました。

仕事関係者や社員、株主、知人等いろんな方に、今までまたは、これからの自分の体験を共有すれば 少しでも役立つことができるではないかと感じるようになりました。新鮮な情報をわかりやすく、面白く、 継続的に皆様にお届けすることができるかどうか、自信はまだありませんが、最低限として続けられる ことを目指したいのでどうかお許しを(笑)。

まず、最近の出来事から少しお話させていただきます。4月末に、今年からの新規事業に協業していただく 方々を上海で出迎え、キックオフ会議を開きました。(これからも定期的に上海で会議を行うことになりました)。 会議の間、上海にあるいくつの会社を見学しました。

一社目は「ShopEx」社。中国においてECシステム及びサービスを提供している会社として最大規模だそう です。「Welcome」と言いながら、玄関に現れた案内人は31歳の社長補佐の男性です。自社ビルの各 フロアを細かく案内してくれました。設立して8年目、社員2000人弱、中国市場シェア8割、顧客80万社は 主なデータです。ここの社員がみんな若い人ばっかりです(案内人の話によると平均年齢は20代です)。 会社にはビリヤード、ジムマシン付きの休憩室が完備し、服装も私服で自由な雰囲気でした。ビリヤードで 遊ぶ人もいるし、休憩室でゆっくり休憩する人もいるので、ずっと日本で生活してきた私にとって少し無秩序 に見えます。また、彼らが誰も気にしていないし、彼らに気にする人もいないことは日本では到底考えられませんでした。

もう一社は「1号店」というネットモールを運営している会社です。スタート時にただ30人弱の会社から5年で 6000人となり、ECモールでも国内10位に入る規模となりました。創業者の于董事長(取締役会会長にあたる) とはある政府主催の勉強会の同期です。(勉強会の話はまた今度にしたいです。)于董事長とECビジネス に関する話を夜遅くまで議論した末、会社の見学も快く約束してくれました。

「1号店」は手掌心事務所の近くにありますので、歩いて行けました。対応してくれた副社長は30代ぐらい です。隣にビシッと座っていたまだ20代に見える綺麗な女性は流暢の英語で、「私はプロジェクトマネージャ の○○」と自己紹介してくれました。翌日になっても、同行の元広島テレビのアナウンサーが「上海の女性 はおしゃれですね」と言っていたので、印象が深かったようです。この会社も社員の平均年齢は20代で アメリカ留学の経験者が多いようです。ただし、5年で社員数が200倍になったことは少し気になっていました。 一般的に考えられないスピードですね。

「中国は老いた老人のようだ。アメリカはまだ30代の壮年だ。」というような話は高校生の時に聞いたことが あります。老人が若者を追い越すことは体力的に無理だという意味で納得したことも覚えています。でも、 この1年間の体験を通じて、この言葉と違うことが起こっているのではないかと感じています。

たとえば、今まで出会ったほとんどの経営者は20代~40代です。会社が上場してから40代まで引退し、 学校の先生になったり、個人投資家になったりする人も珍しくありません。

「アメリカも思っていたような活力のあるところではなくなった」と嘆いている陳さんも30代です。彼が創った 会社は手掌心の隣にあります。スタンフォード大で二つの博士を取り、客家語/広東語/英語/韓国語/ 日本語を話せるエリートです。長年暮らしていたアメリカを離れ、韓国人の奥さんと子供を韓国に置いたまま 上海で会社を興しました。

老いた老人のような中国は本当に若返ったのか?これは一時の現象なのか、または始めたばっかりの ことなのか?ここで答えを探ることが難しいのでやめておきますが、少なくとも見学に同行した全員がこの 土地の至るところにおいて、人/物/資本が速いスピードで流れていることを肌で感じたことは確かなようです。

皮肉なことに、役員会の前日、楽天が中国市場から撤退するニュースが流れました。同じ時期にヤフーも 中国市場から撤退したようです。2社とも中国の最大手を組んでEC市場に乗り込んでからまだ2年未満ですね。

力の強い巨人は必ず成功するとは限らない、零細企業は将来の巨人になる可能性は十分にあることは ここの市場の魅力とも言えます。ビジネスの世界ではやはり「成功する者は王になり、敗者は賊となる」ですね。 この言葉を銘記して手掌心の事業に取り込みたいと思い改めました。

About author

楊 博 代表取締役

中国科学技術大学卒、大阪大学大学院修士課程修了。システムエンジニアからプロジェクトマネージャーを経験し、ネットベンチャーの起業から失敗も味わいました。2003年に株式会社シング(XING Inc.)を設立し、システムの受託開発からモバイルインターネットサービスの企画開発を行っています。2012年に上海政府支援プロジェクト「浦江人材計画」に選ばれました。