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ノーベル文学賞と平和賞は、こんなに議論のある賞とは思いませんでした。

12日、中国の作家、莫言氏のノーベル文学賞受賞決定を政府側が賞賛する一方、 各メディアは、同氏が政府と関係の近い中国作家協会の副主席を務めていること から「体制側の作家だ」と批判する声も強いと伝えている。中には、EU債務危機 に陥っているスウェーデンは中国政府から多大の援助を受けたことで、賞の結果 に何らかの影響を与えたのではないかと憶測する報道まで出ています。

今回と逆に、おととし、ノーベル平和賞を受賞したあとも刑務所に服役している 民主活動家の劉暁波氏に対して、賞は内政干渉の具として利用されていると政府が 批判しているのに対して、メディアはこれこそノーベルの公正さを表していると 擁護する一色でした。

もう少し中立的な解説がないのかと思ったところ、あるブログを見つけました。 安徽省在住の丁氏(有名のブロガーらしい)が書いた文書です。大手のサイトに 彼のブログがたくさん掲載されて、問題になりそうな内容もたくさんありますが、 なぜか報道されているような検閲は受けていません。

今回の文学賞に関する彼の文書を少し紹介させていただきます。

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実際、莫言氏はノーベル賞を取った華人の第一人者ではない。その前に7人の華人 受賞者がおり、中には中国国籍の2人が平和賞、中国育ちフランス国籍になった1人が 文学賞をもらった。ネットはまだ普及していなかった時代でもあったので、彼らの 受賞について政府側の批判しか報道されていなかった。2000年、フランス国籍に なった高行健の受賞に関して、中国作家協会は文学賞が政治的に利用されていると 批判していた。

今回の件に対して、同じ機関が正反対の二つの声明を出したことになる。このこと 自身はどちらかが政治的に利用されていることは一目瞭然である。ノーベル氏の遺言 によると、賞の決定過程においていかなる国籍、民族、イデオロギーまたは宗教の 影響を受けてはならぬ、唯一の基準は候補者の成績の大小であると決められている。 ノベール賞の100年の歴史はそれを証明してきた。

……

正統作家の受賞歴史がなかったため、中国政府が債務危機に陥っているスウェーデン に援助の変わりに何らかの影響を与えたという噂もあった。また、莫言氏は体制内作家 であり、共産党員として中国作家協会の副主席を務めている。毛沢東の講話を手書きで 転記し宣伝する活動に積極的に参加したこともあると言われ、最近では問題の薄氏の 政治運動に賛美詩を書いたとも噂されている。それにしても、莫言氏の文学的な成果は ノーベル賞に値すると信じるべきだ。本人の価値観や政治観点等を彼の作品を評価する 基準にすべきではないし、もちろんスウェーデンアカデミーが決定を下した基準でも ない。

政治やイデオロギーのことを超えて莫言氏に拍手を送りたい。政治は作品に反映されて もおかしくない。政治や現実社会から離れた文学は存在しないからだ。但し、政治は文学 作品を評価する基準ではなく、異論者を攻撃するための具でもない。

今までノーベル賞を政治的に解釈する者は自分の心の狭さを改めて認識してほしい。 本来のノーベル賞の意義を認識し、今まで賞をもらった先人達を正しく接し、彼らに 押し付けられた政治やイデオロギーの烙印を早く消してほしい。

About author

楊 博 代表取締役

中国科学技術大学卒、大阪大学大学院修士課程修了。システムエンジニアからプロジェクトマネージャーを経験し、ネットベンチャーの起業から失敗も味わいました。2003年に株式会社シング(XING Inc.)を設立し、システムの受託開発からモバイルインターネットサービスの企画開発を行っています。2012年に上海政府支援プロジェクト「浦江人材計画」に選ばれました。