あの時に喧嘩してたのに、何ですぐに仲良くなれるのってよく聞かれます。 特別な理由はありませんが、あえて答えると中国語では「対事不対人」と いう言い方があります。それのいい日本語訳が見つからず、「批判は事に 対してなされるべきであって、人に対してなされるべきではない」という 長い日本語になってしまいます。
中国人の特徴ではないかと言われると答えは出ませんが、中国市場において 確かにこのような特徴があると感じています。
先日、中国の通信機器大手会社の華為(HUAWEI)と中興通訊(ZTE)の通信 インフラビジネスを安全保障にとって脅威と認定され、アメリカ政府から 排除されました。ソフトバンクによる米携帯通信サービ事業者の買収にも 中国メーカーの機器を使わないという条件が付けられました。
それの報復として噂されていたのが、アメリカのアップル社がiPhoneの アフターサービスが中国の法律に違反している疑いあるため調査されました。 偽物や悪い商品を暴露する有名な中央テレビの人気番組にも取り上げられ、 主要マスコミから散々批判を浴びてしまいました。
結果としてティム・クックCEOが中国市場向けの謝罪文を発表し、アフター サービスを改善するよう約束しました。
あれから、アップル社のブランドイメージが悪くなったとは感じていません。 多くの人は、個別な出来事だけで判断し、全体に結びつかない傾向があるとも 言えます。日本の市場では食品のリサイクルや生レバーの問題で老舗の会社も 倒産に追い込まれますが、中国市場ではこのようなケースがめったにない のもこの考え方が影響しています。
昨年から、日本の商品が売れなくなるじゃないのと考える人が増えていますが、 私は楽観的に見ています。幸い、最近では落ち込んでいた車の販売台数が徐々に 回復してきていることが私の考えを証明してくれました。
日本語の「水に流しましょう」という言葉を思い出しました。「対事不対人」に はこのニュアンスも含まれているような気がしました。