去る5月26日、あるモバイルインターネットをテーマとしたビジネスセミナーに出席 しました。 中国語のリリースはこちらhttp://teamhello.com/2012/05/27/s05271527/ 時間あれば、この種の会合に顔出すようにしていますが、出るかどうかのポイントは 内容以外に、お金は要らないことも私にとって重要な条件です。
今回の会場は上海の住まいから地下鉄で1時間もかかるところでした。土曜日だったし、 無料だけではなく、抽選で出席者にプレゼントもあると聞いて、私にとってもう参加 しないわけにはいかなかったです(笑)。
案内状に記載された通り、会場にはAngrybird中国総経理に、DeNA中国副総裁、街旁 (中国版Foursquare)CEOの他、投資会社や弊社のような無名のベンチャーの人々が 大勢いました。司会の紹介によると、今回の主催者であるTechNodeはただ数人の若者 のチームでブログ形式のテクノロジー情報サイトを運営しているそうです。
モバイルインターネットのビジネスモデルの話になると中国市場の特徴が浮び上がって きます。ほとんどのサービスが無料のため、サービスそのもので食べていける企業は 皆無でした。スマートフォンのユーザなら誰でも知っているAngrybirdですら、ダウン ロードランキングに中国が2位になりましたが、有料サービスを利用しているユーザは わずかしかいないです。
数年前のことを思い出しました。大学の同級生は動画共有サイトを立ち上げ、規模が 国内3位ぐらいまで成長したようです。日本ではニコニコ動画にお金を出してくれる ユーザが数十万もいると聞いて、彼女がとても羨ましがっていました。中国では一般 ユーザ向けの有料ネットサービスはまったくないと言っても過言ではありません。 その同級生の会社は最大手の「人人網」(中国版Facebookと言われている)に買収 されたとの報道を聞いたのが去年でした。
厳しい環境だからこそ、そこで生き延びたものが一番強いという考え方もできます。 セミナーの中でもフリーサービスを元にしたビジネスモデルをいかに構築できるか どうかをみんなが知恵を絞っていました。Angrybirdはゲームではなく玩具や ライセンスビジネスで収入を得ようとしています。DeNA中国はMobageの展開に関して ローカルの大手ネット会社や携帯会社と提携し、レベニューシェアで報酬を得ています。 グーグルはフリーサービスで成功を収めた初めてのケースかもしれません。その グーグルは2008年、中国で無料の音楽ダウンロードサービスをスタートさせました。 ライバルの百度を対抗するために、ソニーBMGやEMI等のレコード会社から音楽の版権 を買い無料で公開しました。また、最近百度はスマートフォンやPC向けネットで映画 見放題のサービスをスタートさせました。
日本では無料の音楽ダウンロードサービスは考えられません。たくさんのいい コンテンツを持っているテレビ局も動画配信サービスの展開に苦労しているようです。 著作権が主な原因なら、それをインターネットの時代に合わせるような考え方に変化 させなければ、権利を守る一方で進歩を防げる原因にもなり得るような気がします。 いくらいいコンテンツであっても、人々の目に触れなければ価値がないと私がそう 思います。
手掌心も自社サービスを有料にして展開しようとしていますが、これが利用者の拡大 に妨げになっているような気がしてきました。技術でも商品でも、やはり人々に使って もらわなければ、何の価値が生まれませんよね。 無料のセミナーに出てよかったと思いました。フリーの考えを入れてビジネスモデル を構築していかなければと反省しているところです。