Home / Blog / Blog

Blog Post Page post

「先輩・後輩」の考えは日本で生活しないとよく分からない文化の一つだと 思います。逆に中国で生活しないと、「上司・部下」の文化は理解できない かもしれません。

例えば、社内の1シーンを見てみよう。

「これを変えた理由は何ですか?」と私が聞いた。

「…はっきりした理由はないですが」と会社の⭕ちゃんが答えた。

「何で理由も分からないのに、変えたのですか?」

「よく分からないんだけど、上司の❌さんが言ったんだから」

「上司が言ったことが分からなければ、何で分かるまで聞かないの?」

「それは上司の指示だから…」

封建社会の長い中国では、昔から「君譲臣死、臣不得不死」(主が死ねと 言うなら私が死ぬしかない)は美徳として称賛されていました。上司と部下 の関係の底にもこういった考えの影響があるように感じてしまいます。 一体、上司と部下はどういう関係の方が正しいでしょうか?

Microsoftに勤めていた友人から、Scrumと名付けられたチームワークの話を 聞きました。会社から社員に配られた本はある物語からスタートしています。

ある日、豚と鶏が共同経営のお店を開こうとしていました。メインメニューは 卵とベーコンに決まりましたが、商号を「Bacon & Egg」か「Egg & Bacon」 のどちらにするのかで意見が分かれました。最後、豚が泣きながら言った。 「あなたは参加するだけだけど、僕は自分の命までかけているよ」

チームメンバーが豚であることは「Scrum」の核心です。豚のように、自分の 命までかけているチームメンバーがプロジェクトの総責任を負うべきです。 その他の利害関係者(ユーザー、顧客、サプライヤー、管理者、投資者)は 鶏のように、関与するだけであって、命までかけているわけではないので、 プロジェクトに対して責任を負わないまたは一部の責任しか負いません。 「Scrum」には上司と部下の言葉は存在しません。上司と部下は組織における 役割の違いしか意味がなく、具体的なプロジェクトにおいてはチームメンバー と周りの利害関係者しか存在しません。すなわち、店を開く豚と鶏の関係で しかありません。

この考えを遵守すれば、素人がプローを管理するような問題がなくなり、 責任の負わない人が責任を負う人への干渉もなくなります。プロジェクトに 対してもっとも発言力を持っているのは、最初からすべての時間を プロジェクトに捧げているチームメンバーです。上司は支援する立場にいて、 資金や人材等必要なリソースを調整しながら、プロジェクトをマクロ的な 観点で把握する役割に専念すべきです。

最初に就職したトヨタ系の会社でのことを思い出しました。「どんどん 上司を利用して欲しい」と新人研修の時に社長が言った言葉の意味を本当に 理解したのは何年後だったんだろうか。あの有名な「看板方式」にもScrum の考えと類似するところがあります。振り返てみると日本の会社はすでに昔 からScrumの考えを実践していました。残念ながら、今はそれを行っている ところが少なくなったような気がして、これがメーカー不況と言われている 昨今の状況を生み出した一つの原因ではないでしょうか。

「終身雇用」ではなく、チームワークに対する方法論こそ世界に通用する 日本の会社の強みではないかと私が思います。他にもたくさんあります。 例えば、「ホウレンソウ」。個人的には「ノミニケーション」も結構いい ですね(笑)。

About author

楊 博 代表取締役

中国科学技術大学卒、大阪大学大学院修士課程修了。システムエンジニアからプロジェクトマネージャーを経験し、ネットベンチャーの起業から失敗も味わいました。2003年に株式会社シング(XING Inc.)を設立し、システムの受託開発からモバイルインターネットサービスの企画開発を行っています。2012年に上海政府支援プロジェクト「浦江人材計画」に選ばれました。